「アクティブノイズキャンセリング機能を搭載しててコスパのいい完全ワイヤレスイヤホンないかなぁ…出来れば1万円ちょっとで」
そんな製品あるわけな・・・ありました。
ということで、そんな夢のような製品の『FreeBuds 3i』を手にしてから1週間ほど使用したのでレビュー記事を書いていく。
ちなみに、楽天SPUと楽天お買い物マラソンと余剰ポイントを駆使した結果、実質10,000円くらいで購入することができた。やっぱり楽天なんだよなぁ…。
『FreeBuds 3i』とは
この製品は、アクティブノイズキャンセリング&外音取り込み機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンである。
【商品ページ】HUAWEI FreeBuds 3i
完全ワイヤレスイヤホンとは
左右の機器が完全に独立している無線式イヤホンを『完全ワイヤレスイヤホン』と呼ぶ。従来のものは左右の機器を線で繋ぐ必要があり、差別化の意味でそう呼んでいる。
完全ワイヤレスイヤホンは左右が独立しているのでどちらか片方だけを使用することができ、同時に使用しても左右の音声遅延がほとんどないのが特徴。
他に『完全独立型イヤホン』『左右分離型イヤホン』『TWS(True Wireless Stereo)イヤホン』などとも呼ぶが、今回は『完全ワイヤレスイヤホン』の呼び方で統一する。
アクティブノイズキャンセリングとは
ノイズを相殺する周波数の音をイヤホンから発生させることでノイズを動的にシャットアウトするシステムである。
従来の密閉型イヤホンでは防ぎきれない騒音も、周波数で打ち消すアクティブノイズキャンセリングを組み合わせることでより高度な静音化が可能となるという寸法。
例えば隣の部屋から漏れ聞こえてくる謎のうめき声、通勤中の電車のうるさい走行音などのストレス元となる騒音を軽減して、より快適な音声鑑賞を可能としてくれる。
ちなみに、通話相手に声を届けやすくするため風ノイズを低減する機能がマイクに搭載されているが、そちらもノイズキャンセリングと言われたりする。少し紛らわしい…。
外音取り込み機能とは
イヤホンを装着したままでも外部の音を聞きとれるようにするのが外音取り込み機能である。
イヤホンはどうしても耳を塞ぐ形で装着するので必要な音声も聞き取りにくくなってしまうが、この機能があればイヤホンを外すことなく行動が可能となる。
電車の中ではアクティブノイズキャンセリング機能で騒音をシャットアウトし、ホームに降りたら外音取り込み機能に切り替えて構内放送を聞く…というのに便利。
『FreeBuds 3i』の良い点
それでは、ざっくりとこの製品の良かったところを書いていく。
- ノイズキャンセリングが強力
- 外音取り込み機能が実用的
- 実用的な形状
- 通話品質が良好
- 破格の安さ
『FreeBuds 3i』のノイズキャンセリングは強力
仕事都合で福岡市に行く用事があったので装着して性能を検証してみた。移動手段は新幹線・地下鉄・徒歩である。
結論、実用レベルが高いノイキャン性能と感じた(特定の音は除く)。
さすがに「何も聞こえない!」とはならないものの、音楽を聞いてる限りはほとんど気になることはなく、必要にして十分なレベルだと思う。
具体的に、ノイキャンを試したシチュエーション別に効力を説明していく。
※ちなみに、各写真はフリー素材なのでテスト場所と一切関係はない。
シチュエーション1:新幹線のホーム
新幹線を待っている間、反対側のホームを別の新幹線が通過していった。うん、くっそうるさいな・・・というわけで2台目が通過する前にノイキャンをONにする。
走ってるのは何となく分かるけど、全然うるさくない…!
激しい金属摩擦音が、まるでテーブルに湯呑を置くかのような静かさである。
初めて『AirPods Pro』を体感した時と同等の感動が、そこにはあった。
シチュエーション2:地下鉄の車両内
地下鉄と言えば走行音が響く乗り物だ。というわけで、ノイキャン機能をONにして乗車する。
今これ走ってんの…?わっかんねー!
さすがに完全な無音というわけではないが、微かに音が聞こえるレベルで、騒音感は一切なくなってしまった。トイレをノックされる音よりも静かだ。
調子に乗ってノイキャンOFFにしたらくっそうるさかった。なんだよ、結構うるさいじゃねぇか…だからよ(ノイキャンを)止めるんじゃねぇぞ。
ちなみに、ノイズキャンONでも車内放送や構内放送は聞こえるが、当然小音量になる。放送が聞きたいなら外音取り込みモードに切り替えよう。
シチュエーション3:地下通路
博多の良いところは地下通路で都心エリアの移動が完結するところだと思うが、博多に限らず、ノイキャンONで歩くのは本当に危ないからやめたほうがいい。
とはいえ、短時間のテストだから…というわけでノイキャンONで歩く。
あ、これはあかん。超気持ち悪くなる…。
俺は右耳に突発性難聴を患っているんだけど、難聴が発生した時とほぼ一緒の感覚。歩いているのに歩いている音が聞こえないから超キモい。
繰り返しになるけど、ノイキャンは外音がうるさい時だけ使うもので、普段から全力全開で使うものではない。危ない。
あと、ノイキャンONのままジュースを飲むのも気持ち悪くなる元だからおすすめしない。
シチュエーション4:エスカレーター付近
建物内で担当スタッフを待つ間暇だったのでエスカレーター付近で待機してみた。
なんか外、小雨降ってる・・・?
エスカレーターの駆動音って地味にうるさいはずなんだけど、しっかりノイズがシャットアウトされた結果、トタン屋根に小雨が降ってる感じのパラパラ音に変化した。
シチュエーション5:ゴミ袋の清掃
ゴミ袋を漁る時のパリパリ音というのも人によっては不快になるかもしれない。というわけで念の為チェックする。
あー…これはあんま意味ないわ。
清掃員がゴミ袋を触っている間のパリパリ音については、ノイキャンONでも普通に分かるレベルだった。
ノイズとして検知されてないのかノイキャン処理が難しい音なのかは定かではないが、とにかく他のノイズに比べたら効果が薄い。
『FreeBuds 3i』の外音取り込み機能は実用的
アクティブノイズキャンセリングほどの衝撃はないけど、外音取り込み機能も実用的だった。
音楽を再生していない状態であれば、イヤホンを装着していないのとほぼ同じ音量感になるのでイヤホンつけっぱなしでも問題なさそうだ。
ただ、音楽を再生している状態での外音取り込み機能は、外音と音楽とがミックスされてちょっと変な感じになるのであまり好きではないかな…。
とはいえ、この製品はイヤホンをダブルタップして音楽の一時停止&再生切替が可能なので、外音取り込み機能を有効にする時に一緒に音楽を停止すればOKか。
ちなみに、アクティブノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能の切替はイヤホン長押し(左右どちらでも可)。
『FreeBuds 3i』は実用的な形状
この製品は『AirPods』そっくりな耳からうどん的な形状をしている。パクリ?いやいや、そんな人聞きの悪い…。
バカにされることがあるうどん形状だけど、実はダブルタップや長押しの時にうどん部分を指でつまめば耳が圧迫されないという隠れたメリットがある。やっぱすげえよAppleは。
ちなみに装着時のサイズ感はこんな感じ。
密閉型だけどつけ心地は悪くなく、ざっと走り回った感じでは落ちるような気配もなかった。ジョギングやジムトレーニングのお供としても使えそうだ。
『FreeBuds 3i』の通話品質は良好
通話音声は良好で、スマホのSkypeやLINE通話のテスト音声通話で試してみた限りはかなり綺麗な部類だった。
さすがにスマホ本体で通話するのとは聞こえ方が違うが、とはいえそのへんのワイヤレスイヤホンとは比較することができないレベルで音が良い。
これについては音声ガジェット系のYouTuberも何人か言及していたので、気のせいではないと思う。
『FreeBuds 3i』は破格の安さ
結局これに終始するんだけど、最大のメリットは前述の通りの性能を持っていながら20,000円未満の価格に収まっているという点に尽きる。
完全ワイヤレスイヤホンとして必要な一通りの機能を備えていて、結構良さげな通話品質も持つのに定価16,280円(税込)という安さで購入出来るのが一番の魅力。
完全ワイヤレスイヤホンの代表格としては以下の2製品の名前がよく挙がるが、いきなり購入するにはいささか高額な製品と言える…。
それらに対してこの製品なら約10,000円も安く購入できてしまう。ノイキャンに主観を置いたチョイスとしては、かなり高コスパと言えるだろう。
『FreeBuds 3i』の惜しい点
コスパ抜群な製品だけど、気になる点もいくつかある。
- ファーウェイ製品である
- 指紋が目立つ(黒のみ)
- 長時間の使用が厳しい
- Qi充電には非対応
- 重低音が少し弱い
『FreeBuds 3i』はファーウェイ製品である
この製品は中国メーカーであるファーウェイ製だ。ITリテラシーの高い人だったら色々と思うところがある会社かもしれない。
特にスマホ含む通信系事業において、ファーウェイはアメリカから制裁を受けていることで有名な企業である。
ただ、高度に政治的なあれこれは素人の俺には理解できないが、俺的には「ユーザーにとって大事なのは性能面だからメーカーで判断する必要はない」と思っている。
この製品はコスパが良いアクティブノイズキャンセリング&外音取り込み対応の完全ワイヤレスイヤホン。それ以上でもそれ以下でもない。
『FreeBuds 3i』は指紋が目立つ(黒のみ)
カーボンブラックカラーはイヤホンおよびケースともにツヤありブラックなので、指紋や傷がわやくそに目立つ。
これに限らず、ツヤありブラック製品の宿命ではあるんだけど買う場合は覚悟が必要。
『FreeBuds 3i』は長時間の使用が厳しい
公式ページによれば、稼働時間は最大約3.5時間再生かつ約2.5時間通話、充電ケース使用で最大約14.5時間再生かつ約10.5時間通話。
これはアクティブノイズキャンセリングOFFかつ音量50%で測定した計測値なので、アクティブノイズキャンセリングONで使用した場合はもう少し短くなるか。
3.5時間も連続で楽曲を聴き続けるかはさておき、稼働時間としては少し短い部類らしい。定期的にケースに収納して充電する必要があるのは念頭に置いておくべきである。
『FreeBuds 3i』はQi充電には非対応
Qi充電には対応していないから、無線充電ができない。
Qi充電対応なら、イヤホンをケースごと台座に置いて放置してれば充電完了!ってなるんだけど、残念ながらこの製品は有線充電のみ。
とはいえ、USB-C対応なので充電ケーブルに困ることはない。
ちなみに、同メーカーの兄弟機(?)とも言える『FreeBuds 3』であればQi充電に対応している。
『FreeBuds 3』は密閉型ではなく開放型のノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホンだけど、何らかの意図があって性能も差別化しているのだろうか…。
『FreeBuds 3i』は重低音が少し弱い
音の善し悪しは個人の感覚に依存するからあんまり書きたくはないけど、念の為書いておく。
俺はジャンルに関わらず歌詞のない音楽(クラシックとかインストゥルメンタル)がすきで、その中でもオーケストラ楽曲をよく聴く。
オーケストラ楽曲は重低音ありきなんだけど、この製品は少し重低音が弱いかな…と感じるところがいくつかあった。
逆に高音域~中音域は全然悪くなく、聞いている範囲では普通に良い音のように感じた。
ちなみに、YouTubeでビジネス系やハウツー系の動画を見る(聴く)のが目的なら、全く問題なく聞き取ることが可能だ。
総評:「安かろう悪かろう」を覆す1台
安価な製品には「安かろう悪かろう」というフレーズが付きものだが、『FreeBuds 3i』は高額な他社製品の完全下位互換というわけではなく、コスパも非常に良い。
安価にノイキャン付きの完全ワイヤレスイヤホンデビューをするならぴったりな1台であり、欠点を理解した上でならしっかり長く使い続けられる製品であるとも感じた。
「感動体験がしたいけど『AirPods Pro』と『WF-1000XM3』は手が出せない」という人にとって、気軽にノイキャンを味わえるベストな製品である。