IT業界のゼネラリストをおすすめしない3つの理由

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ITを始め、各業界には『スペシャリスト』と『ゼネラリスト』と呼ばれる2種類のプロフェッショナルが存在する。

スペシャリストはある分野に精通した専門家を指す言葉で、ゼネラリストはスペシャリストの対義語にあたる言葉である。

今回は俺の体験談をもとにゼネラリストが何なのかを説明しつつ、少なくとも俺はIT業界のゼネラリストはおすすめしないという話をしていく。

これからIT業界で頑張ろうと思っている人や、今まさにIT業界で頑張っている人の参考になると嬉しい。IT以外の業界でも、書いてある内容は概ね一致するはずだ。

ゼネラリストとは何なのか

どんな業界であっても、仕事を細かくしていくと、いくつかの『分野』というものが存在している。

そしてゼネラリストとは、1つの分野ではなく多くの分野の知識・経験・スキルを持ったプロフェッショナルを指す言葉である。

逆にスペシャリストは、1分野に特化した深い知識・経験・スキルを持つ。『ゼネラリストは万能型、スペシャリストは特化型』と考えるとイメージしやすい。

ちなみに俺はシステム開発・ハードウェア・ネットワーク・サーバー・セキュリティ・マルチメディアの他、営業・ユーザーサポート、果ては携帯電話管理も担当している。

俺の場合はそれに加えて、エンドユーザーに当たる工場で品質や資材のデータ管理・分析まで経験しているのでいよいよ意味がわからない…。

ゼネラリストの3つの強み

「ゼネラリストをおすすめしない」というのは俺の主観的な考えなので、ある程度公平性を保つためにゼネラリスト固有の強みも書いておく。

ゼネラリストには以下の3つの強みがあると俺は考えている。

  • 顔が広くなる
  • 柔軟な発想ができる
  • 高収入が狙える

ちなみにこれらのメリットのうち上2つは俺の経験談だけど、3つ目は上司に言われたメリットだ。現在も当てはまるかは怪しいと思っている。

顔が広くなる

ゼネラリストは知識の幅が広いので、社内外に関わらず多くの人とコミュニケーションをとることで顔が広くなる

また、合同プロジェクトでは様々な分野の技術者と協力することになるため、潤滑油として盛り上げ役や調整役を担う事が多くなる。

顔が広くて好印象な人間は出世しやすいから、後々の事を考えるとゼネラリストという選択肢は決して悪くない。

柔軟な発想ができる

様々な分野の経験を持つゼネラリストは、多角的に業務に関わっているため柔軟性のある発想ができるようになる

「開発だから~」「営業だから~」といった固定観念に縛られない考えができるから、プロジェクトが行き詰まった時に突破口になる事が多い。

難題を解決した実績があると会社で表彰されることもあるから、ゼネラリストとして他分野の経験を持つことは決して無駄にはならない。

高収入が見込める

ゼネラリストは幅広いスキルを持つため、マネージャー職になれる可能性が高く高収入が見込める

マネージャー職に必要なのは、マネジメント力と、他分野の人間と折り合いが付けられるほどのスキル(および知識と経験)だからである。

技術力を求められる事は少なくなっていくので、技術一辺倒のスペシャリストよりも将来性が高い…という理屈らしい。

ゼネラリストをおすすめしない3つの理由

なるほど、改めて考えるとゼネラリストは悪くないじゃないか…。

それでもゼネラリストをおすすめしない理由は以下の3つだ。

  • マネジメント力が低いと出世できない
  • 会社からの独立が難しい
  • 転職の難易度が跳ね上がる

マネジメント力が低いと出世できない

俺のかつての上司が言ったように、最終的にゼネラリストが目指すのは『幅広い知識・経験・スキルを武器にしたマネージャー職』である。

つまり、幅広い知識・経験・スキルというのはあくまで付加価値にしか過ぎず、重要なのはマネジメント力であることに他ならない。

マネジメント力が低いと出世が難しいため、より高度な専門性を持つスペシャリストに収入で劣る場合もある

…しかし改めて考えると好奇心旺盛な人にこそゼネラリストは向いているのに、行き着く先が自分から動けないマネージャー職というのはなんとも皮肉な話である。

会社からの独立が難しい

どうしようもないのだが、ゼネラリストはスペシャリストに比べると1分野における能力が下回ってしまう。

そのため、会社から独立してフリーランスとして稼ぐ場合、スペシャリスト以上に大苦戦を強いられることになる。

フリーランスの案件を与えてくれるクライアントは「できるだけ○○分野の能力が高い人に依頼したい」と考えているからである。

ちなみに俺は現時点で個人事業主として案件を貰って生きているが、開発系にせよインフラ構築にせよ、スペシャリストに劣るから案件を貰いにくい立場にある。辛い。

転職の難易度が跳ね上がる

終身雇用制度が崩壊した今、1つの会社で働き続けることもまたリスクと言える時代になってしまっている。

そんな中で注目されているのが転職であるが、ゼネラリストはここでも苦しめられることになる。理由は至ってシンプルだ。

あなたがある会社の採用担当だとして、広く浅い経験を持つAさんとあなたの会社にマッチした深い経験を持つBさん、どちらを即戦力として採用するだろうか?

…特に、この記事の執筆時点では世界的大不況で転職難易度そのものが高い状況だ。それに加えてこのデメリットまで抱える事になるのは、とても辛い。

そのあたりの話は、転職エージェントについての記事で触れている。

ゼネラリストは必要な存在

勘違いしてほしくないのは、会社にとってはスペシャリストもゼネラリストも、ともに必要不可欠な存在だということである。

ただ俺は、IT業界のゼネラリストはおすすめできないと判断した。というか、ゼネラリストとして社会人経験を積んだことを現在進行系で後悔している。

とはいえ、ゼネラリストの持つ『なんでも屋』というイメージはシンプルにカッコいいし、俺もそれに憧れてゼネラリスト路線を歩んできた人間だ。

『ゼネラリスト育成計画』と題した会社の計画にノッて、色々な分野の業務に関わっていた時が幸せだったのも紛れもない事実である。

もしあなたがゼネラリストを目指すなら、1つの会社に所属し続けてマネジメント力を磨きしっかりと出世する、という明確なヴィジョンを持っておくべきである。

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