俺の実家は10年くらい前から猫屋敷と化していて、いつでも野良猫の住処みたいな状態になっている。
遊びに来るのはみんな大人の野良猫ばかりだったんだけど、今年の3月になんと子猫が迷い込んできた。
紆余曲折あって今日付で正式に飼い猫になったので、人を怖がっていた野良の子猫が飼い猫になるまでの約4ヶ月の出来事を記事として書いていく。
ただ、書いてあることを絶対に参考にしないでほしい。
猫を飼うのは初めて(犬・うさぎ・ハムスターしか飼ったことがない)だし、そもそも、飼うという判断が絶対的に正しかったとは思えないからである。
2020年3月
3月中旬:野良の子猫との出会い
猫屋敷と言われている我が家に、薄汚れた野良の子猫が迷い込んできた。
10年前から我が家に居着いている”ミー”と外見が似通っているが、一回り小さいし声も弱々しい。
”ミー”は人馴れしているので呼べば寄ってくるが、今回のちっこい”ミー”そっくりな子猫は一向に近寄ってこない。
ご飯をあげようかと思っていたら、いつの間にかどこかへ消えていた。その後、子猫が迷い込んだ件について家族間で情報が共有された。
そして、母親はいつの間にか子猫用のキャットフードを購入していた・・・。
2020年4月
4月上旬:再び姿を見せた子猫
再び子猫が家の敷地内に迷い込んできた。
次こそはご飯をあげようと思ってエサを容器に入れて差し出すも、口はつけない。しかも近づこうものなら一目散に逃げていく。
それから何度も姿を見るうちに、どうやら家の裏山に住み着いているらしいことが判明した。
4月中旬:初エサやり
姿を見せてくる→エサをやる→逃げる…というやりとりを1~2週間ほど続けるうちに、エサを口にしてくれるようになった。
相変わらず10mくらいの距離は保っているし空の容器を回収しようとすると全力で山まで撤退していくが、エサを食べてくれたのは大きな前進である。
4月下旬:エサを催促するようになる
エサが欲しくなった時に限り、我が家の台所に向かって物欲しそうな声で鳴いてくるようになった(裏山からこちらの台所の中が見える)。
その頃になると、こちらとの距離感は5mくらいまで縮むようになっていた。とはいえ相変わらず逃げるので、まだまだ先は長い。
2020年5月
5月上旬:縮む距離感
エサをやる時に限っては積極的にこちらに近づいてくるようになった。
こちらから子猫に近づこうとすると相変わらず逃げるものの、逃げたとしても2mくらいの距離に留まるようになっている。
5月中旬:名前を付けられる
エサをあげる時に母親が子猫のことを”ちび”と呼ぶようになった。どうにも”ミー”の小さいバージョンなので”ちび”らしい。
何度か名前を呼ぶうちに向こうも名前を覚えたのか、「ちびちゃん!」と呼ぶと返事をしてくれるようになった。
裏山にむかって名前を呼ぶとエサを求めて山から出てくることもあった。1週間くらいで名前を覚えるのだから、猫は本当に賢い。
5月下旬:人の生活圏に入るように
相変わらず2m圏内に近づく事を許してはくれないけど、主に台所の裏口付近など、こちらの生活圏に入り込むようになった。
腹が減れば裏口の前でエサを催促するし、時には家の裏の丸太の上でこちらを観察しているような姿も見られた。
2020年6月
6月上旬:更に人の生活圏に入るように
”ちび”も少しづつ我が家に馴染んだのか、台所の裏口周辺に限らず、屋根裏や庭でウロウロするようになっていた。
時には先輩猫の”ミー”にちょっかいを出して怒られることもあるが、なんだかんだでそこそこうまくやっているらしい。
6月中旬:こちらに興味を持つように
こちらに興味があるのか、エサをやる時に限らず、向こうからある程度近づいてくるようになった。
触れるくらいの距離間ではあるが、まだ触るわけにはいかない。こちらからアクションを起こすとビックリさせてしまう。
6月下旬:裏山からのお引越し
今までは裏山に住んでいた”ちび”も、我が家の敷地内で一日を過ごすようになった。晴れた日は屋根の上で寝ているし、雨でも庭にいることが多い。
時々ふらっと消えるが、2日もすればいつの間にか帰ってきてのんびりしている。猫は自由だ・・・。
ただ、この頃になると”ちび”の名前に似つかわしくない大人猫になってきている感じがあって、猫の成長の早さに少し驚く。
2020年7月
7月上旬:お触り解禁、そして苦悩
ついに人馴れしてきたのか、”ちび”は母親や俺にすり寄ってくれるようになった。撫でれば気持ちよさそうに喉を鳴らすし、頭突きや甘噛もするようになった。
頭突きや甘噛というのは猫の愛情表現らしいから、それなりに信頼されているということなのかもしれない。ここまで本当に長かった。
時々家に上げてほしいのか、俺や母親を呼ぶように玄関先で鳴くようになった。ずっと一人で生きてきたから、愛情に飢えているのだろうか。
いっそ飼い猫にしてあげたいとは思うが、間違いなく愛犬の”瑠珈(るか)”が嫉妬に狂ってしまうからそれはできない。悩ましい状況だ・・・。
7月中旬:野良猫と飼い猫の狭間
”ちび”をどうすべきか悩みつつも、なんとなく現状維持で付かず離れずの距離感で接し続けていた。
ただ、もしどこか遠くへふらっと出ていった時に保健所に連れて行かれたら困る。ということで首輪を付けることにした。
また、”ちび”を抱きかかえていた時に、偶然ではあるが”ちび”がオス猫であることが判明した。母親は何かを検討しているようだった。
7月13日(昼):去勢手術と健康診断
母親の判断で去勢手術をしてもらうことになった。”ちび”のような野良子猫を増やしたくないという気持ちがあるらしい。
飼い猫にするつもりがないのに去勢手術だけはする・・・なんとも中途半端な正義感だと思うが、俺も母親の考えを否定することはできない。俺もそうしたかもしれない。
しかし術後、先生から”ちび”についての思いも寄らない診断結果が開示された。
「この子、FIV(猫エイズ)で陽性反応が出ていますから外に出さないほうがいいですね・・・」
生後数ヶ月の猫ならば親からもらった免疫に対して陽性反応が出る場合があるようだが、”ちび”は恐らく12月か1月頃に生まれた子だ。誤反応ではないだろう。
恐らく親からの遺伝だろうということだが、陽性反応が出たからと言って必ずしも発症するわけではなく、無症状のまま長生きする子も沢山いるらしい。
とはいえ、この子の将来を考えるなら、危険の多い外の世界に放っておくのは良くないことだろう。
7月13日(夜):そして飼い猫へ・・・
色々と悩んだ末、”ちび”の今後を考えて我が家で飼うことになった。当然”瑠珈(るか)”は威嚇しているが、もうどうすることもできない。
”ちび”が懐いているのは俺と母親だけだから飼い主を探すのも難しい。せめて”瑠珈(るか)”から干渉を軽減するためにケージを購入し、俺の部屋で面倒を見ることにした。
本当は家に離してあげたいし、キャットタワーなんかを買ってあげて自由にしてあげるべきだ。でも我が家の環境ではこれがギリギリである。
まとめ
スマホの写真とにらめっこしながら、思い出すように色々な出来事を回想した。
冒頭にも書いたし文中でも書いていた気もするけど、俺や母親の行動が正しかったとは決して思わない。
愛猫家からすれば常識外れな行動かもしれないし、結果的に愛犬である”瑠珈(るか)”のストレスにも繋がってしまっているように感じる。
ただ、俺や母親の行動の末に今の状況が成立している。途中放棄することはしないで、最後までしっかりとこの子の面倒を見たいと思っている。
俺に関しては福岡市での転職が控えているから時々アシストに入るくらいになってしまうが、少なくとも実家にいる間はしっかり可愛がってあげたい。