終身雇用制度の崩壊やウイルス蔓延による影響で、転職に強い関心を持つ人が増えてきている。
転職といえば転職サイトが有名だけど、最近は転職エージェントサービスの名前も耳にするようになってきた。
今回は、経験談を交えながら転職エージェントについて書きつつ類似サービスである転職サイトとの違いについても解説する。
今はこんな情勢で転職の難易度が跳ね上がっているけれど、転職を考えているビジネスマンの参考になると嬉しい。
本来は雑記ブログに書く内容ではないんだけど、ブログテーマの『生活改善』にも触れる部分だから書いていくことにした…というのは表面上の理由。
この記事を書くに至った本当の経緯は後半に書いておく。
ちなみに案件ではないので安心してほしい。単価が高いから案件なら美味しかっただろう…。
転職エージェントと転職サイトは別のサービス
転職エージェントと転職サイトはインターネットで利用可能な転職支援サービスだ。スマホ1つあれば利用できる。当然、利用料は発生しない。
ただ、共通しているのはそこまでで中身は完全に別物のサービスだ。
超・ざっくり言うと、転職エージェントは人の手を借りるサービスで、転職サイトは自力で頑張るサービスである。
この記事では転職エージェントについて書いていくが、まず前提知識として転職サイトについておさらいしておこう。
転職サイトの使い方(おさらい)
転職サイトは、求職者が自力で転職先を探すサービスだ。
以下の流れで内定を目指すことになる。
- 自分の情報を登録する
- 求人情報をサイト内で検索する
- 企業の情報を自力で収集する
- 選考を自分ですすめる
自分の情報を登録する
自分の名前や年齢、職歴などを登録する。履歴書なども登録する。
過去に自分が関わったプロジェクト、持っているスキルなどを入力する場合もある。
俺の場合は尋常じゃなく広い職歴のせいでえげつない文章量を要求された。正直、死ぬほどだるかった。
希望職種や希望勤務地の入力を求められる場合もあるので、これも入力する。
求人情報をサイト内で検索する
転職サイト上の求人情報から好みのものを探す。
企業の人事担当から「面接しませんか」「選考を受けませんか」などのお誘いを受けることがあるので、これらにも目を通す。
ちなみに俺は福岡のIT企業を希望する設定なんだけど、山口在住な上に経歴が広すぎて「地元山口の工場で働きませんか?」みたいなオファーが頻繁に来る。人事の仕事雑すぎィ!
自身が望まない勤務地や業務内容の求人情報も多いから、内容にしっかり目を通しておこう。
企業の情報を自力で収集する
自分が望む求人情報を見付けたら、その企業の仕事内容や業績・評判などを自力で調べていく。ブラック企業を回避するためだ。
会社の評判を調べられるサイトなどもあるので、それらの外部サイトを駆使して自分なりに信頼に値する企業かどうかを考えよう。
面接結果に大きく影響するから、この段階で企業の方針・将来像・今までの経緯などをしっかり調べておこう。
選考を自分ですすめる
転職サイト上で企業と連絡を取り、スケジュール調整や書類作成・送付などを進めていく。
転職の場合は、履歴書の他に職務経歴書が必要な場合が多い(サイト上に職務経歴を入力するのはそのため)。
書類選考→面接・・・というステップを踏み、内定を獲得する。
転職エージェントの使い方
転職エージェントは、アドバイザーという協力者を得られるサービスだ。
以下の流れで内定を目指すことになる。
- アドバイザーからヒアリングを受ける
- アドバイザーが紹介する求人情報を確認する
- アドバイザーに企業の情報を見せてもらう
- アドバイザー仲介のもと選考を進める
アドバイザーという言葉がゲシュタルト崩壊しそうになってくるな…。
アドバイザーからヒアリングを受ける
転職エージェントサービスに登録すると、最初に担当アドバイザーから電話もしくは対面でヒアリングを受ける。
俺が利用した転職エージェント3社は、どれも最寄りの拠点が福岡だったから電話でのヒアリングとなった。
ヒアリングの中では「自己紹介」「今までの経歴」「やりたい仕事」「希望条件」などなどを深堀りすることになる。
アドバイザーが情報を整理してくれるのが転職サイトとの違いだ。
ここでアドバイザーに好印象を持ってもらうと、後々有利になる(理由は後述)。
ヒアリング後は、履歴書や職務経歴書などを作成して送付しておこう。
アドバイザーが紹介する求人情報を確認する
ヒアリング内容を元に、アドバイザーが求職者にマッチする求人情報を紹介してくれる。
転職サイトにはない『非公開求人』を紹介される場合もある。というより、これが転職エージェントの1番のメリットとも言える。
転職エージェント経由で内定が決まった時、企業は転職エージェントに内定者の年収の30~40%を報酬として支払う仕組みとなっている。
※内定者の年収が減るわけではないので心配無用。
つまり、「高い金を払うんだから、我が社にピッタリのいい人材を紹介してくれよ」というこだわりのある求人情報が『非公開求人』ということになる。
それ以外の思惑がある『非公開求人』も存在するが、アドバイザーいわく大半はこのような理屈になっているようだ。
アドバイザーに企業の情報を見せてもらう
転職エージェントは各企業について独自調査したいい感じの資料を持っている。
資料の中には「企業の方針」「求める人材像」など面接で有利になる情報が多く含まれているから、見せてもらわない手はない。
本来、自力で調べなければならない情報を手間なく入手出来るのも転職エージェント独自の強みだ。
アドバイザー仲介のもと選考を進める
いよいよ、求人に応募することになる。
転職エージェントでは、応募したい求人情報をアドバイザーに言うとアドバイザーが各企業に書類と紹介状を送ってくれる。
しかも、一気に何十社もの求人に同時応募することができる。誰もが憧れる「ここからここまでぜ~んぶちょうだい!」みたいな贅沢だってサポートしてくれる。
書類選考の結果が上々であれば、アドバイザーを介して面接スケジュールを決めていくことになる。ここでも、直接先方と対話する必要がないから気楽だ。
もし面接に不安を感じているなら、アドバイザーにお願いして面接対策に付き合ってもらうこともできる。
ちなみに最初にヒアリングで好印象を持たれた方が良いと書いたのは、ヒアリングでの印象が紹介状に記載されるためだ(コミュニケーション能力がとても高い、とか)。
頑張って内定を獲得したら、転職エージェントとの契約を終了する。
転職エージェントのメリット3点
転職エージェントについて説明する過程で書いているけど、転職エージェントは以下の3つのメリットがあると俺は考えている。
※厳密にはもっと多くのメリットがあるが、俺にとって重要なものだけ抜粋する。
- 転職活動に集中できる
- 苦手な要素をカバーできる
- 自分の転職市場での価値が分かる
転職活動に集中できる
転職エージェントサービスでは、企業とのやり取りなどを含め大半の作業をアドバイザーが仲介してくれる。
こちらとしては、出来る限り面接対策に集中したいからありがたい。
また、自分が求めていない分野の求人情報を可能な限りシャットアウトできるのも転職サイトにはないメリットと言える。
また、アドバイザーが書類選考周りを全て代行してくれるため、一気に50社分の選考を受けるという離れ業も簡単にやってのけることができる(推奨はしないが)。
苦手な要素をカバーできる
選考書類(履歴書や職務経歴書)の添削や、面接対策などをアドバイザーにお願いすることができるのも転職エージェント独自の強みだ。
折角面接が得意でも文章作成が苦手だと選考では不利となってしまうから、事前に苦手な要素をカバーできるのは嬉しい。
ちなみに俺は、転職エージェント3社からどちらもお墨付きをもらっている。完全に職歴が足を引っ張ってるな…。
自分の転職市場での価値が分かる
転職エージェントが儲かっている仕組みについては前述の通りで、企業が払う人材紹介報酬が彼らの稼ぎ口だ。
つまり彼らは1人でも多くの求職者を転職させなければならない。長期的にサービスを利用されると赤字になってしまうからだ。俺みたいなのが一番困る手合のはずだ。
極端な話、彼ら転職エージェントは『年収が高くて内定を取りやすい求人』を紹介して1発合格を決めてもらえば儲かる。
つまり紹介求人を見れば、転職のプロが判断した俺たち求職者1人1人の職市場価値が分かると言うことである。
サービスを利用した感想
転職エージェントについてだらだら書いたが、利用する価値が大いにあるサービスだと感じた
「無難な求人を紹介する傾向がある」という点さえ理解していれば、転職のプロ目線の意見がもらえるなどの恩恵は大きい。
また、昨今の転職情報を得ることができる。今の日本ではゼネラリストよりもスペシャリストの方が高評価を得やすいというのもエージェントから聞いた話だ。
俺みたいに手広くやり過ぎたゼネラリストは転職市場価値が高くないという悲しい事実がわかっただけでも、転職エージェントを利用した意味はあるというものだ…。
ちなみに、大手から零細まで多くの企業が転職エージェント事業に参入しているのが現状なので、偏った目線にならないように複数社を同時利用するのがオススメだ。
俺は大手2社と零細1社のサービスを利用しているが、求人情報に各社の傾向があって面白い。あと、零細だからって馬鹿にできない。
記事を執筆した本当の経緯
今でこそITフリーランサーとしてギリギリな生活をしている俺だけど、本来は4月から転職の予定だった。
ところが大不況の影響で内定は取消し。追加で選考していた企業からも「求人そのものをなかったことにしたい」と連絡を受け、最終的に7社分の内定取消しを受けた。
もしウイルス蔓延がなければ今頃はサラリーマンとして安定した生活を送りながらゆっくり個人事業を進められていたはずだが、実際はそうならなかった。
1年後あるいは2年後にこの記事を読み返した時、「○年前は辛かった」という事を思い出せるようにするためにこの記事を執筆したというのが、今回の経緯だ。